多脚ロボットとは
多脚ロボットは脚を用いて移動するロボットの一種であり,他の移動形態
[3] と比較して不整地での移動に適しています
[4] .
多脚ロボットの歴史は古く,これまでに多くの研究が行われてきましたが,いまだに実用化されているものは少ないといえます.
多脚ロボットが実用化されない原因は大きく分けて2つあります.1つは脚の機構を実装するために多くのアクチュエータを必要とするため,重量が増加したり,エネルギー消費が増加したりする問題点があることです.
もう1つは,機構の複雑性から,制御が困難であることです.
このような課題をもつ多脚ロボットですが,独自の利点を持っています.
1つは,脚を用いて障害物を乗り越えたり,穴をまたいだりすることができるため,タイヤやクローラで移動することが困難な不整地での移動に適していることです.
もう1つは,地面に与える影響が少ないため,砂利や砂などを巻き上げることなく移動することができることです.
また,ホロノミックな全方向移動が可能であることや,脚そのものを作業のための足場として利用できることなどがあげられます.
以上のような利点の活用を期待され,今日でも多脚ロボットの研究は盛んに行われています.
自由歩容
脚ロボットを歩行させるためには,脚の運動を制御するために歩容を生成する必要があります.
現在,多くの研究では多脚ロボットの歩容は固定歩容が用いられています.
これは固定歩容には実装が容易であり,平面において比較的高速な移動が可能であるという利点があるためです.
しかし,多脚ロボットに求められるタスクは不整地でのタスク
[5] であり,固定歩容では不整地での移動に適していません.
地形に合わせて歩容を変化させる自由歩容が求められます.
本研究の目的
本研究では,多脚ロボットの自由歩容を生成するための手法として,グラフ探索を用いることを提案しています.
この手法は,ロボットの状態をノード,動作をエッジとしてグラフを構築し,グラフ探索を行うことで,自由歩容を生成するものです.
この手法の持つ利点は,未来の状態を予測することができるため,効率の良い動作が生成できることや,どの足も上げることができないデットロック状態を回避できることです.
課題としては,実時間内の歩容生成のためには,グラフの構築において適切な離散化が必要であることが挙げられます.
課題解決のアプローチとして.自作したシミュレータを用いた動作シミュレーションを行い,その結果から離散化を行いました.